マイクロソフトでウィンドウズ95の開発に携わったカリスマプログラマーがものづくりと組織について綴った一冊。
著者自身のブログから抜粋した記事と西村博之氏、古川享氏、梅田望夫氏との対談と加筆からなる構成。
技術を極めた先にある差別化要因はユーザーエクスペリエンスであり、それは日本語に訳すとおもてなしであると著者は書いている。
中国や韓国等の海外勢に押される日本の製造業にとって参考にすべき思考が詰まっている。
ーー以下ピックアップーー
・ものづくりにおけるこだわりには二種類ある。作る方の自己満足のための「こだわり(エンジニアの美学)」と使う人の満足度をとことん上げるための「こだわり(おもてなし)」である。
その違いには充分注意を払うべきである。
・海外では日本の大学は相手にされていない。韓国等の優秀な学生はアメリカの大学院に行き、帰国してサムスンに入る。日本の理系の学生とはハングリーさやエリート意識が違う。こんな人たちと戦って日本は勝てるのか?
・英語は必須。自分の価値を高めるべき。
・再就職が難しい日本の社会では、生涯教育が成り立たない。日本の知識労働層が必死に勉強するアジアに抜かれるのも時間の問題。
・ブログ特有の双方向性とリアルタイム性は心地よいもの。
・すべてのサービスはSAAS(Software As A Service)になる。ビジネスモデルのサービス化はソフトウェアだけでなく、ハードウェアでもメインになる。従来の「ものを売り切って終わり」のビジネスでは戦えない。iPod&iTunesはサービスと一体化したハードウェア。
・元ソニー出井氏はiPodのようなビジネスモデル構想を持っていた。(社内の「ハードウェアで勝負したい」という流れに押され、実現ができなかった?そしてiPodにやられた。)
・タイムカプセルにofficeのファイルを入れておいて100年後に開けるか?マイクロソフトオフィスを買わないとデータが表示できないなんていう風にユーザーを束縛すべきではない。
・「上を見て仕事する人」と「天を見て仕事する人」がいる。上は上司の顔色や直近の自分の利益を指す。天とはお客様や社会の未来を指す。
企業が生き残れるかどうかは、天を見る人が働きやすい環境を作れるかどうかにかかっている。
・米国では技術のことをばっちり理解しながら経営の深いところまで話せる人が多い。日米の差は大きい。
・新人社会人のころに「新人だから特許出すのはまだ早い」とか「考えた人ではない人(上司)が学会への発表にいく」といったような年功序列が我慢できなかった。
・一歩も二歩も下がって「世界全体では何が起こっているか」を俯瞰して眺められるようになるべき。
・ソフトウェアやサービスと一体化した統合サービスビジネスとしてハードウェアをデザインできない企業は2020年ごろにはアップル等に押され、ただのサプライヤーになってしまうだろう。
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今、若い人たちは古い日本企業の体質やスピードの遅さに苛立ちながら、海外からくる刺激的なサービスやプロダクトに心を奪われています。
それはジャパンプロダクトの衰退を表していると感じます。
この状況を日本の製造業はもっとしっかり見なければいけないと思います。
今の世界における「日本のものづくり」について考えなければいけないこととヒントが詰まった良書でした。
※読んだ方、興味を持った方、是非積極的にコメント、感想をお願いします。
中島聡氏ブログ